1. 心の在り方
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たとえ若造でも…3

その翌日、店がオープンすると竜矢がやってきた。
頼みもしていないのに、携帯を見せつけてくる。
「ほら、砂羽からのメール。大切な話があるからここに来るようにだってよ。お前の前で大切な話だなんて砂羽も罪な女だな。お前がわざわざ俺のために調査してくれたことが役に立ったよ」

この日も砂羽が好きそうなオレンジ色の花束を持って。
竜矢に注文されたコーヒーを淹れていると砂羽が現れた。

「大切な話って何?」

竜矢は見るからに嬉しそうな顔をしている。

「それは…先ずはあなたから先に言ってほしいんです」

竜矢は嬉しさが耐えられないようだ。わざわざこちらを見て来るのが憎たらしい。

「では。砂羽さん、あなたが好きです。お付き合いしてください!」

竜矢は持っていた花束を砂羽に差し出した。
差し出された花束をそのまま突き返して砂羽はこう言った。

「嫌です!!私あなたみたいなタイプは嫌いなんです。大体、気持ち悪いんです。なんであなたは私の好きなものを知っているんですか?私あなたに教えた覚えは全くないんです!」

予想もしていなかった言葉に竜矢はあっけにとられていた。

「はっ??!どういうことだよ!大事な話があるって言ったじゃないか!だから俺に言わせたんじゃねえのかよ!」

「自惚れですか?さらに気持ち悪いんです!!私は何か言いたいことがあるならどうぞと言っただけで、別に好きとか言っていないんです」

「くっ、じゃあ、大事な話ってなんなんだよ!」

「今話していることなんです。私あなたみたいな人を使わないと好みも聞けない腰抜け野郎はこの世で一番嫌いなんで、二度とアプローチしてこないでほしいんですって言いたかっただけなんです。そんな腰抜けよりわかりきった嘘を使ってでも相手の関心を引き出そうと頑張る人の方がよっぽど好きなんです!だから、もう二度と姿を表せないでもらいたいんです」

「ふ、ふざけんな!!こんな女こっちから願い下げだよ!」
「そうやって捨てセリフ言うところもカッコ悪すぎなんです。もうさっさと行ってほしいんです」

顔を真っ赤にした竜矢はこちらを見ようともせず、足早に立ち去っていった。

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「ふぅ、疲れたんです。こんな時はコーヒーブレイクです。いつものひとつお願いするんです」
「えっ?あっ、はい!今すぐ淹れます」
「あの…」
「はい、なんですか?今日はお砂糖でも入れます?」

「いや、違うんです。あの…その…私、嫌な女なんですよね?」
「えっ?」

僕はコーヒーを淹れる手を止め砂羽の方に向き返った。

「そんなことないです。最高に素敵でした」

「本当です?私あなたに嫌われていたらどうしようと思ってたんです。でも、大切なあなたを傷つけた竜矢は許せなくて、私止まらなくなってしまったんです」

はっ!と砂羽は自分が今ようやく何を言ったのか理解し、口をもがもがとさせた。

「だから…それで…あの…私は」
「砂羽さん。そこから先は僕に言わせてください」

二人の目と目が見つめ合う。

「ずっと前から好きでした。お付き合いしてください」
「はい」

それから僕はこの日一番の熱々なコーヒーを淹れた。
幸せなコーヒーブレイクになりそうだ。

「それにしても、君は嘘をつくのが下手くそなんです。君が私の好みを聞こうとしているのはバレバレだったんです」

「えっ?全部バレていたんですか?!恥ずかしいな。でも、どうしてわかったんです?」

「これでも私小説書いているんです。君にはもっと相手にバレない嘘の書き方を教えてあげるんです。これからたくさん教えていくから覚悟するんです」

「よ、よろしくね。友晃」

…さて、少々物語に遊び心をもたせ過ぎてしまった。今回の物語で伝えたい教訓は以下のとおり。

若いからという理由でアウトプットするに値しないというのは全くの誤解だ。
確かに三十歳の経験と五十歳の経験とでは大きな差がある。五十歳の言うことの方が説得力があることだろう。それはごもっともな話だ。だが、いくら良い経験をしていたところでそれを人に伝えないのであれば、その経験や知恵は人に共有されることはない。

つまり、共有されないのであれば、その人がいくら優れていようとその恩恵を授かることは永遠にない。まだ経験のないものだからという理由で後ずさりすることはやめよう。

例え少ない経験だったとしてもアウトプットしたとすれば、それは誰かのためになることもある。

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