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『情熱があれば過程は楽しいものになる。情熱がなければ過程は面倒なものになる』
ある男はとても困惑していた。
なぜやらなくてはならないとわかっているのに身体が反応しないのか。男はその答えを探していた。
男は職場の問題点、改善点がよく目に入った。
ここを改善することが出来たら、環境はかなり良くなるだろうな。なぜ他の人は気づいていながらやらないのだろうか。それとも気づいていないのか。
男はそう思いながらも自分を笑った。
そうは言っても自分も同じ穴のムジナか。やれば良いというのはわかっていてもやろうという決断までは出来ないんだよな。
男は自分の行動に困惑していたが、仕方ないかと、いつもの仕事に戻っていった。
ある時、男が勉強会に足を運ぶと古い友人に出会った。その友人と話すうち、友人は熱意溢れる男で職場に革命を起こし続けている人物だといったことがわかった。
男は友人に悩みを打ち明けることにした。
「実は僕も君同様、職場の問題点をよく発見するんだ。しかし、改善しようとなるとどうもやる気が起きない。
改善となると調査や上の承認がいるだろう?それに自己犠牲も必要になってくる。そんなことを考えていたらどうも身体が動こうとしなくてね。
君はいつもどうしているんだい?」
友人はよくわかるといったように頷き少し考えてから答えた。
「僕もそんな時があったなぁ。ただ今はそれよりも解決したいという思いの方が先立って、行動に駆り立てられるんだよ」
しばらく黙り込んでから友人がまた口を開いた。
「…おっと、答えになっていなかったね。
なんだろうなぁ。なんというかめんどくささよりも情熱が勝つなんて言えば良いかな?というか心からやりたい!なんて思うとめんどくさいとも思わないんだよね。むしろ、楽しい。
…これもあんまり答えにならなかったね。
心底やりたいと思える情熱があるかどうかなんだよなぁ。
情熱があれば過程は楽しいものになる。情熱がなければ過程は面倒なものになる」
「うーん、わかったようでまだよくわからないなぁ」男は顔を曇らせる。
「情熱に出会ったら意味がわかるよ」
友人とはそこで別れた。
男は数週間、頭を捻らせていたがその答えは以前わからないままだった。情熱を持って仕事に取り組んでみようと思っても、そもそも情熱の出し方さえわからない。
そんな折、あの友人から連絡が入った。
会うなり友人は切り出す。
「答えは見つかったか?」
いいや見つからないよ。と男が洩らすと友人はははっ、そうか。と少し笑った。
笑い事じゃないよ。と男は返したが、友人はまぁまぁ。と言い、話を続けた。
「実は君に手伝ってもらいたい仕事があってさ。ほら、この間会った時に君はライターの仕事をやってみたいと言っていただろう?
その話がこっちに舞い込んできたんだ。僕もフォローするからさ、君がメインで仕事を進めてみないかい?
情熱に関しても少しヒントになるんじゃないかなと思ってさ」
それは男が心からやりたいと思える内容であった。しかし、同時にそれは骨の折れる作業でもあった。
地道な調査と膨大なインタビューを行わなければ、到底良いものが作れないことが男の頭にもはっきりとわかっていたからである。
男はそのことをしばらく考えたのち、断った。
またいつもの感じか。いつもここで身体が反応しなくなる。
男は自分の心に冷めたものを感じていた。
だが、今回ばかりは違った。
日が経つとやってみたい!と内から溢れ出てくる思いに突き動かされる自分を感じ取っていた。
そのうちそのことが頭から離れなくなっていた。
男は友人に連絡を入れた。
「この間の件なのだが、まだお願いすることはできるだろうか?自分でもわからないのだが、いつもとは違い、やってみたいという気持ちでいっぱいなんだ。
そりゃ、インタビューとかは大変そうだなと思うんだけど、上手く出来たら良い作品になる。それで人に喜んでもらえるのなら、すごく誇らしい気持ちになれる。そう感じたんだ」
友人は嬉しそうに返事をした。
「それが情熱というやつだよ。なっ?言ったろ?情熱があれば、過程は楽しいものになるんだ。
よしっ!それなら決まりだ!早速プロジェクトを進めようじゃないか」
男と友人は意気揚々とプロジェクトに着手し始めた。途中何度も困難に見舞われたが、男は前のめりになり問題を解決させていった。
いつもはやる前から腰が重かった自分が嘘のようだった。今はどんどんやりたいという気持ちが溢れてくる。
そして、努力の末ついに無事プロジェクトは完遂し、男と友人はその仕事をやり遂げた。
男と友人は共に喜びあっていた。
しかし、男にはその喜びがプロジェクトを完遂したことによるものだけではないことがわかっていた。
男は情熱が持つ力を感じ始めていた。
そして、情熱は取ってつけるものではなく、情熱が先に来て事を成すのだと分かり始めていた。
男は次なる道へ歩む決意を固めた。
本日の教訓
■情熱がなければ、大義を成せない
大義を成すためには情熱は必須だ。情熱があればどんな困難も乗り越えることができる。情熱が燃える先はあなたにしか出来ない特別な任務だ。
決してこれは他の人にはすることができない。
情熱を持って取り組めることに専念しよう。
情熱に専念し続ければ、人生は特別なものとなる。
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