1. 心の在り方
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ぶっ飛び経営者【5】それが面白い

すると、中城はこう答えた。
「なんかありましたっけ?それよりまた面白いことがありましてね。今新しいシステムを開発中なんです。つい夢中になってしまって、人と話すことをしばらく忘れていましたよ、ははは」

中城はなんとも気の抜けた様子で話す。小金井はあっけにとられたが、話を続けた。

「すみまっ……!あっ。いや……。それはまた面白いことを行ってますね。今度はどんなことをやっているんです?」

「いやー転職サイトってものすごく多くあるじゃないですか。それを一つのサイトで統合して、情報も一つ入力すれば、どのサイトでも反映されるようにしたくて、で、うちのサイトから応募したら、その求人を載せているサイトから応募したようになる。

もちろん、各サイトとも連動していて、そっちのサイトを見にいってもしっかりそこから送られたかのように反映している。そんなサイトを作りたくてシステム作ってるんですけど、まあ大変ですね」
中城はなに食わぬ様子でとても楽しそうに話す。

「それはすごいですね。確かに転職サイトって登録がめんどくさいですからね。それは需要がありそうです。ところで、中城さんのところではPRって必要としていますでしょうか?」
さりげなく需要を聞き出す。

「ああ、PRは全く出来ていませんね。どうしても開発することに夢中になってしまって、手をつけられません」

「その点を面白くご紹介できたら良いと思いません?」

「それはあります。似たようなサービスも多いですからね。いくらPRしても類似サービスがあるとどうしても埋もれがちなんですよ」

「それを打開できるとしたらどうです?」
さらに小金井は質問を繰り返した。

「ええ、それはもちろんすぐ食いつきますよ」
そこで、小金井は新たなプロジェクトの説明を行なった。

「確かに僕の知り合いでもやってることが面白いなって思う人は一般的に言えばネジが外れた人かも知れません。でも、それが最高に面白いんですよね。そこを特集にあげてもらうというのは面白いかも。ぜひ、お願いします」
中城は面白そうだと食いつき、即座に決断した。

小金井は訪問日時を調整し、話をまとめた。
その当日。以前、インタビューした時訪れたカフェで、待ち合わせる。今度は先に着いてお待ちしよう。

そう思い、小金井は十分前に店に到着したが、もうすでに中城が席に着いていた。「すみませんお待たせしました」と断りを入れると、中城は笑って「オーディオブック聴きながら、システム作ってたので何の問題もないですよ」と言っていた。

インタビューはスムーズに進んだ。二時間ほどでインタビューを終えたが、あまりにもぶっ飛んでいることが多すぎて、それだけで記事が何本も書けそうだった。そして、まだ探れば出てきそうである。この結果に大満足していると中城がこう提案してきた。

「小金井さん、前回お電話でちらりとお話しした方にお会いしてみてくださいよ。きっと喜んでサービスを利用してくれると思いますから。この人はですね、数年前に会社を興して、大成功を収めたんです。

ですが、その資産を全てつぎ込んで、さらなる事業を作り始めたんですよ!全てですよ?!だから、今手元に少しのお金も残っていない貧乏経営者です」
ね?面白いでしょ?と中城は無邪気に笑っている。
小金井もそれは面白いですねと大笑いし、紹介してもらう約束をした。

早速、小金井は社に戻り、新サイト第一号となる記事の執筆を開始した。
翌日その記事が発表され、ビジフリー社のソーシャルネットワークで紹介すると瞬く間に記事は拡散された。

なんでも
「この経営者の頭のネジがおかしい」
「スケールがでか過ぎて面白い」
「こういう人が世界を変える」

とのこと。このおかげで中城のビジネスは注目を浴び、求人の殺到、取引先の殺到、投資家の殺到と嬉しい悲鳴が止まらなくなったそうだ。

そしてこのサイトも佐野、黒田のおかげで記事が多く集まり、三ヶ月もするとすぐに優良サイトへと育っていった。これをきっかけに個人事業主の中でも話題になり、以前他社へ流れてしまった事業主たちからも依頼が殺到し始めた。

いわく、これだけ多くのビジネス・サービスが乱立する中で普通のことをやっていては勝つのは難しいと感じたのだという。いくら低価格でサービスを提供しようと、いくら低価格でPR活動を行おうと他と同じように見えるのなら、やってもそれほど効果が上がらない。

しかし、このサービスは他社のそれとは圧倒的に違う部分がある。それは経営者一人一人の内面に迫っているということだ。このサービスは一人一人に個性がある人間性をアピールして独自性を出していこうとしている。

そこに目をつけた個人事業主がそれであれば。と、登録を開始し、事業主仲間に口コミを行なった。その口コミが伝染し続け、多くの個人事業主からの依頼につながったのである。

その後も快進撃は続き、その三年後には業界シェア一位を獲得した。運営メンバーも増え、ビジフリー社の主要ビジネスとして、なおも成長を続けている。佐野と黒田は共にチームリーダーとなり、部下を取りまとめている。驚いたことにこの二人は取材を重ねるごとにこのぶっ飛んだ経営者たちの思考に感化され、すっかりと自分たちもぶっ飛んだリーダーとなっている。

先日も黒田はダンボール女子として特集を組まれていた。実はダンボールをこよなく愛していてミニチュアの家などを制作することが大の得意なのだとか。この時の特集でもダンボールを見つめる黒田の目は輝きに満ちていた。

佐野は佐野で、感想を全て世界中のお茶の味と香りといった特徴で例える、というわけのわからないまとめ方をしている。しかし、世の中もわからないものでどういうわけか好評を博している。

社内標語には「ぶっ飛んでるくらいが気持ちいい」という標語までできた。この三年で大きく変わったものだ。

さて、小金井はというと…

「本当にいいんですか?小金井編集長」
「ええ、構いません。もう決めたことですから」

「あなたがこうなるとは思ってもいませんでした」
「ふふふ、不思議なものですね」

「全て失うかもしれませんが、それでもやるのですね?」
「男に二言はありません。やらなきゃいけない時だってあるってもんですよ」

「そんなこと言って。本当はやりたくって仕方ないだけなんじゃないですか?」
「ははは、ディレクターにはなんでもお見通しですね。あの人たちを見ていたら、私も挑戦したいと思うようになりましてね」

「かなり面白い人たちですからね。私もだいぶ感化されました」
「まあ、また違う形ですぐお世話になると思いますけどね」

「次はどんなことをされるんです?」
「ブランディングコンサルタントを行おうと思っています。」

「へえ、それは面白そう」
「とびっきりの記事書いてくださいよ?あっ、インタビュアーは理絵ちゃんがいいです」

「二倍の料金をいただきます」
「ははは、それは高い」

「では、そろそろ行きますね」
そう言うと小金井はディレクターと固い握手を交わして、社を後にした。

「さて、これからが楽しみだな」
ブブー、ブブー。小金井の携帯が鳴る。
「あっ、中城さん今度はなにしてるんですか?えっ?!事業を全部売却して教育産業の発展を目指す?!また壮大ですね。僕の方はですね、今会社を辞めてきたところです。世界中の人をもっと面白くしようと思いまして、ぶっ飛んだ人を増やす活動をしていくところです。世界中の人が個性溢れて、ぶっ飛んだ考えを表に出すことが当たり前の世界になったら、面白いと思いません?」

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