彼の行う仕事は丁寧でテキパキと仕事をこなす。そのため、周囲からもできるやつ。と評判だった。
彼が丁寧に仕事をこなしていたのは、必ず確認を怠らなかったからだ。
その日もOは積荷の確認を入念に行った。
「よし、何も問題ない。大丈夫だ」
しかし、納入先に向かう途中、予想外のトラブルが発生した。
落ちるとは思っていなかった積荷が強風にあおられ、道路にばらまかれてしまったのだ。
幸い、事故や怪我はなかったものの一歩間違えれば大惨事となるところだった。
上司に報告したOはその日、社長室に呼ばれた。
「すみませんでした!」
すると、R社長は開口一番こう言った。
「君は気遣いが出来ていないようだな、O」
「君は確かに仕事はできる。だがな、人様に迷惑をかけることはやってはならないのだよ。
前にも君は納入先で同じようなトラブルを起こしたな。どんなことがあっても人様の迷惑にならないという気遣いがあれば、こんなことにはならなかったはずだ。
仕事が出来ることも大事だが、気遣いが出来ることの方が大事なのだよ」
RはOに気遣いの配慮が出来ていないことを伝えた。
Oは仕事のこととなると、強いこだわりをもっていた。
より早くより美しくより丁寧に。
この言葉をモットーとし、事細かな小さな点までチェックを行い、かなり気を遣っていた。
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だからこそ、仕事で高い評価を得ていたのだ。
Oとしてはかなり気遣いをしているつもりだった。
しかし、R社長の言葉を受けてOはところどころで気遣いが足りていない場面があったことを認めた。
Oは自分でも片付けや掃除、整理整頓が苦手なことはわかっている。
普段よく使うものに関しては「またすぐ使うから散らかしておいても使いやすければ、いいだろう。汚れてもそのうち綺麗にすればいいか」とてんで無頓着なことも自覚している。
自分は気にならないからとそれを人にもやってしまい、嫌がられたことをOは思い出した。
思い返すうち、Oは今回の事故も自らの習慣が引き起こしたものだと気づいた。
普段より積荷が多かったのにもかかわらず、普段と同じ速度、それも少し飛ばし気味の速度で走ってしまったことを思い出した。
少しでも人様に迷惑をかけてはいけないという気遣いが頭にあれば、Oは普段よりも遅く走ったはずだ。
しかし、Oはその頭がなかったため、いつもの習慣に沿って行動した。
そして重大な事故を引き起こした。
Oは今まで自分が気遣い出来ていなかったことを悟った。
本日の教訓
■気遣いは仕事にだけではなく、人や物に対しても行おう。
自分が無頓着なものに対しては「自分が気にしていないからいいや」とついおざなりにしがちである。しかし、人から見たら不快極まりない行動かもしれない。
人のために気を遣おう。
相手があってこそ、自分のビジネスを行うことが出来る。
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