『問題を作り出したときと同じ考え方では、その問題を解決することはできない。 アルベルト・アインシュタイン』
先週に引き続き、夢幻は闘技場の対人バトルに精を出していた。
新たな戦略を手に入れたことで夢幻は戦うことに楽しみを覚えていた。
前よりも順調に勝ち星を重ねることが出来たからだ。
しかし、好調も長くは続かなかった。
少し上のランクに上がるとその戦略もあまり効果が出ず、また勝ったり負けたりを繰り返すようになっていた。
夢幻のデッキをこれ以上強くすることはできず、更に強くするにはかなり多くの投資が必要となる。
もちろん、夢幻にそんな余裕はなかった。
夢幻は手詰まりを感じていた。
「なんかつまらなくなってきたなー」
夢幻はこれ以上、上がることのできない限界に嫌気がさしていた。
だが、夢幻が嫌気をさしていたのは、これだけが理由ではなかった。
夢幻がいつも負ける相手は決まったデッキ構成のチームだったのだ。
それはある意味反則技とも言えるデッキ構成で、ゲームをつまらなくするものだった。
夢幻より上位にいるほとんどの人がそのチーム構成をしていた。
夢幻もそれと同じチーム構成を作ることが出来たが、そんなつまらない人と同じ戦略をとることに嫌気をさしていた。
だから、夢幻は正統派デッキで勝負に挑んでいたのだ。
しかし、それでは全く勝つことが出来なかった。それが夢幻につまらなさを感じさせていた。
「あー。つまんない。どれもみんな一緒だよ。あっ、この対戦相手も全く同じだ。ワンパターンでつまらないな。
このゲームは多少弱くても戦略性でカバー出来るのが楽しみだったのに」
次第に夢幻はあまりにもそのデッキとマッチングされるので、怒りをあらわにした。
「まただよ!もうこうなったらやけくそだ!いつもと違う戦い方をしよう!」
夢幻はいつもの戦い方では勝てないことがわかっていたので、いつもと違う戦い方で挑んだ。
…だが、それでも夢幻は勝利を収めることが出来なかった。
その後も夢幻はやけくそになり、戦う度、戦い方を変えて勝負に挑んだ。
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その勝率は相変わらず、勝ったり負けたりを繰り返していた。
次第に負け越しが多くなり、下のランクの人と対戦することも増えてきた。
そして、時より夢幻は自分よりレベルの低い人にも負けるようになっていた。
それほどまでに流行っているデッキが強かったのだ。
腹が立ちつつも、毎度戦い方を変えて研究していた夢幻はほんの少しだが、また勝ち越すようになっていた。
最初は格下の相手と戦っているからだと思っていたのだが、同ランクの流行りデッキと対戦しても時より勝つことが出来た。
「あれ?おかしいぞ。メンバーも装備も何も変わってないのになんで勝てるようになってきたんだ?」
夢幻はしばらく考えてその答えを発見した。
「あっ、そうか!戦い方!」
これまでの夢幻はとにかく相手より先手を取って全体攻撃をするのみ。といった戦略を取っていた。
しかし、それでは勝てないことがわかった夢幻は全攻撃に徹するのではなく、あえて防御策に回ったり、囮を使って、対戦相手を撹乱したりと少し回り道をするようになった。そして、全体攻撃をするだけではなく、適所に敵単体に強烈な一撃を加える手を組み込むようにしていた。
その戦略をとることで、また勝ちを積み上げることに成功していたのだ。
夢幻は自分でも気が付かぬ間に成長していたことを実感した。
本日の教訓
■負けや失敗も経験という教師である
負けを経験したり、失敗を経験すると嫌気を感じてしまうが、もう感じる必要はない。
負けや失敗を繰り返している間は辛く苦しいが、次はどうすれば経験しなくて済むのだろう?と考え、PDCAを回していけば、負けや失敗という経験が自然と自らを成長させてくれる。
やっているうちにこれはうまくいかないなということが見えてくるのだ。見えてくるということは過去の経験の産物なのだ。
■うまくいかないのなら、違うやり方を試そう
失敗したことや上手くいかなかったこと何度を繰り返し行っても、得られる結果はいつも同じである。
今やっている方法で上手くいかなければ、少なくとも違うやり方にしよう。
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