心の在り方

逆境に打ち勝つために自分の頭で考える

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PRプランニングは東京のど真ん中に位置する中規模のイベント企画会社だ。仕事の幅は、プレゼンに始まり、スピーチ、提案と多岐にわたる。岡田薫子と徳島真美もその例に漏れず、仕事をこなしていた。この会社では同じ仕事を複数人で請け負うことも多い。岡田と徳島は良きパートナー関係にあった。
岡田の仕事は徳島に質問・依頼をすること。岡田はスピーチ能力には定評があるが、原稿作りはずぶの素人と言わんばかりの出来なのである。岡田もそのことをはっきりと自覚していた。どうも構成を整えるのが難しい。そこで、構成が得意な徳島に全て任せようということなのだ。徳島はそのサポート役を買って出た。
とはいえ、徳島は岡田のサポートをするだけではない。徳島も岡田同様、スピーチをすることが多々ある。徳島はスピーチはそこそこといった具合であったが、岡田にお願いをするのではなく、自分でスピーチを務めていた。

徳島はお願いされることに嫌気を感じていなかったし、スピーチを代わってほしいと思うこともなかった。岡田もお願いされるわけではないので、特に手伝うことはしなかった。二人にとってこれが普通だった。

一度だけ同僚から岡田も苦手だ嫌だと言っていないで、自分で原稿を作れと言われたことがあった。その時は自分で作ったほうがいいかなと思った岡田であったが、優しい徳島の「頼ればいいのよ」という声に甘えることにした。結局、それっきりでいつも岡田は原稿作りを徳島に頼っている。


そんな関係が数年も続いたあるとき、社の大手クライアントから大々的にスピーチの企画が舞い込み、そのスピーカーに岡田が抜擢された。入念な練りに練られた原稿が必要になる。岡田はいつものとおり徳島に相談しにいった。

ところが、どこを探しても徳島の姿が見当たらない。別のクライアント先にでも行っているのだろうか。特に気にする様子もなく、岡田は別の仕事をこなしていた。またあくる日、岡田は再度徳島のデスクと訪れたが、また居処は掴めなかった。スピーチ本番が少し近づいてきて、岡田は焦りを感じ始めていた。

「全くどこ行っちゃったのよ。携帯も繋がらないし。」

たまたま自分が訪れた時にいないだけなのだろうと思っていたが、度重なる不在に嫌な胸騒ぎを感じていた。そして、またあくる日、その胸騒ぎは本物となった。

ようやく徳島と連絡が取れた時、徳島は今病院にいるのだと言ってきた。風邪をこじらせて緊急入院したかと思うと、併発して肺炎にかかってしまったのだそうだ。とてもまともな状況ではなくて、電話にすら気がつかなかったわ。ごめんね。というと徳島はまだしばらく退院は難しいかもしれないと伝えた。

「それとね。」徳島がそう言うと岡田はまたしても嫌な予感がした。
「病院内でインフルエンザが蔓延してしまったみたいで、運の悪いことに私にも移ってしまったのよ。おかげで頭が全然まともに働かないの。ホントやられたって感じよね。もう厄介ごとはこれで勘弁してほしいものだわ。」
話し方は笑い調子であったものの、声色や時より沈黙が続くあたり、体調は本当に悪いのだろう。意識も朦朧としているのかもしれない。
「どうしたの?黙り込んで?」
「ううん、なんでもない。とにかく真美はゆっくり休みなさい。」
「ありがとう、それよりスピーチの依頼は入っていないの?」と徳島が聞くと、ぎこちなく問題ないと岡田が答えた。
「本当に大丈夫?」と言う福島をよそに、大丈夫だから、あなたは自分の心配をしなさい。じゃあ、またね。と電話を切った。

岡田は大切なスピーチがあることを黙っていた。大切なパートナーにこれ以上の負担を負わせたくなかったのだ。


岡田が原稿を書くのは数年ぶりだ、それも構成はいつもぐちゃぐちゃ。それでもこの時ばかりはやるしかない。腹をくくり、原稿を書きはじめた。

「その時奇跡が起こった。」

「なんていうことは何一つ起きはしなかったわよ。結果は散々だった。なんとかアフターフォローをして、その場はごまかせたけど、皆唖然としていたわ。いつもの君らしくないね。なんて声をかけてくる人もいた。でもね、これがいつもの私なのよ。人に頼りっぱなしで学ぶことをおろそかにしていた私。

思えば、いつも他人任せだったわ。だって頼れるところがあるのなら、頼らなきゃ損じゃない。相手も頼っていいと言っているし、頼った方が楽しいし、楽だし、頼らない意
味がないと思わない?

人からはよく頼れなくなった時に痛い目をみるなんて言われるけど、なぜ頼ってはいけないのかしら?経験してみなければわからないじゃない。なんで楽なことができるのに自分でやらなきゃいけないのよ。頼れるものがあるのに意味がわからない。
ってこのときまでは思ってた。でも、それは間違いだった。
頼れる相手がいたとしても自分の頭で考えなきゃダメなのよ。ある程度の仕組みや原理は知っておかなくてはいざという時、役に立たないんだわ。前に一度同僚から言われていたけど、自分でやらなかった罰ね。
これが私の失敗のお話。
それからは亀の歩みだけど、真美に構成を習っているところ。」
常に自分の頭で考える癖をつけよう。いつも他人任せでは逆境を迎えたとき対処するだけの心や能力を持ち合わせることができない。これでは大事な時に力を発揮することができず、良い結果を残すことは難しいだろう。常に人任せにせず、自分で考えることには大変な労力と負荷がかかる。だが、これも心を鍛える訓練なのだと自分の頭で考えることを習慣に取り込もう。
自分の頭で考えた場合、対策案なども自分で調べてみる必要に迫られる。だが、そうすることで、その問題以外のことでも知識を得ることがあるので、知識が豊富になるのだ。
・筆者作田勇次アカウント 

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