心の在り方

習慣化の鍵

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挑戦するのは嫌だ。続かないし、辛いし、成果は出ないし。瀬沼 加代子は今まで何度も新しいことに挑戦しては苦痛を味わっている。そしてそのたびに挫折も。
ダイエット、早起き、自己投資、ブログ運営、セミナー講師などなど。よし!今度こそはやり遂げて自分のものにするぞ!とありったけのパワーを注ぎ込んでやってきたのに、すぐに続かなくなり、自分が嫌になる。
仲間と一緒にやり始めても、お金をかけてツールを購入しても続かない。やり始めた時はよくても、モチベーションが保てずに失敗を繰り返してしまうのだ。
そんな自分を変えよう。今度こそは。
もう何度その決意をしたかわからない。しょせん自分は何もやり遂げることが出来ないダメなやつなのだ。そんな思いが心に入り込んでくる。
でも、加代子はまた新しいことをやろうと決意した。今度こそは必ずものにしてやる。必ず。
新しく学び始めたのは物語の書き方。これをビジネスに活用しようと目論んでいた。今回は挫折するわけにはいかない。
加代子はスクールに席を作り、逃げ場を塞いだ。
そのスクール通い初日。この日起こったことは加代子にとって生涯忘れられない一日となった。簡単な自己紹介でこれまでの経緯と決意を語った加代子に講師から予想もしていなかった適切なアドバイスをもらったからだ。
「今度こそはモノにしたいと思います!」と加代子は言うと講師は微笑み、あるたとえ話を話し出した。
「長年やっていなかった人が習慣的にスポーツをしようとするとどうなるだろうか?初日はやり始めたばかりだから楽しい。そう感じるだろう。
だが、次の日の朝を迎えるとものすごい激痛が身体中に走り、さらに怠惰感を感じる。昨日までの楽しかった想いもさよなら。こんなに辛いならもうやりたくない。と。今日は筋肉痛だから良いか。また明日回復したらやろう。そう思う。こんな経験は誰もが一度は経験してきたことがあるはずだ」
加代子と他の受講者は頷いた。
「その時点で辞めてしまう人もいる。当然その場で辞めてしまえば、何も身につくことはない。そこであなたはもう少しやってみようと決意をし、重たい体に鞭を打って無理やり体を動かし始める。すると、どうだろうか?動き始めこそ辛いものの体が動き出せば、痛みやだるさも和らいでくる実感を得る。ああ、無理にでも体を動かしてよかった、そうあなたは感じるだろう。
しかし、次の日の朝になればまた前日と同じ苦しみだ。二日分の疲れともなると前日よりもよりダルさを感じるかもしれない。今日こそは休もうかなと思う。だが、ここで休んでは何も得られない。とあなたはまた体に鞭を打って無理に動かす。昨日よりも辛いもののやはり体を動かし始めるといくらか楽になる。
そんな生活が一ヶ月ほど続く。もうここまで来るとなぜこんな苦しみを味わい続けなくてはならないのかと思いだすようになる。こんなに辛いなら辞めたい。と。もうスキルなんて身につかなくても良い。と。よくこの苦しみを乗り越えたらなどと言うが、わけがわからない。この苦しみが永遠に続くものだと感じるのだ。
それならいっそもう辞めてしまえばいい。私には合わなかったのだから。そう思いたくなる。ここで辞めてしまう人も多くいるのだろう」
加代子と受講者はまたも頷く。
講師は続けた。
「こうなってきた時は自らの夢・目標を思い出そう。自分は何になりたいんだ?何を成し遂げるためにがんばっているんだ?努力することで何が得られるんだ?
やり遂げた自分には何があるのかを想像する。自分自身にいくつもの質問をする。そして、どうにか頑張る。
そうすると、ほんの少し。ほんの少しだが、普段感じていた筋肉痛が和らいでいる感じがすることを覚えるはずだ。だが、それでもまだ辛さは残る。
やっぱりこの辛さは永遠のものなのか。と思う。それならやっぱり続かないから辞めようかなと。三ヶ月が続くまではこの葛藤に悩まされ続けることだろう。
ただ、それでもその葛藤に打ち勝ちやり続けてみよう。やり続けてやり続けて、半年が経過した頃には当初感じていたような痛みはそれほど感じられなくなっていることに気がつく。
もちろん年に何回かは身体中がバキバキになる日もくる。しかし、当初感じていたほどの苦しみというのはなくなってきたことに気がつくはずだ。永遠に感じていた痛みも遠い昔のことのように思えて、いつから痛みを感じなくなったのかもわからなくなる。久しぶりに感じる痛みに懐かしさを覚えるかもしれない。
そこでようやく気がつくのだ。当初永遠と思われた痛みも永遠などではなく、やり始めにかかる負荷なのだと。そしてそれさえ乗り越えれば、習慣化されるのだと。ここまでくるとやるのが当たり前になっているだろう」
講師は一息ついて続けた。
「さて、ここで話題を戻したい。これはスポーツに限った話なのだろうか?いや、そんなことはない。何かを始めたときには必ずと言ってよいほど痛みが伴う。
では、そんな時みなさんが越えなくてはならない壁はなんだろうか?それはもちろん痛みはやり始めた時に一番大きく乗りかかるという事実だ。この事実を知らなければ、痛みは永遠だと思いこんで、すぐに挫折してしまう。
自転車も漕ぎ始めが一番重たいように、あらゆるものはやり始めが一番大変なのだ。
みなさんはこれから物語の書き方を学んでいただくわけだが、まずこの原理をしっかりと叩き込んでもらいたい。

ええ、心配はしなくて大丈夫。原理さえ分かれば、以前よりも乗り越えやすくなっていることを感じられるはずだから。
では、これより講座を開始する。まず物語とはというところから…」
この日、加代子が学んだことは彼女にとって忘れられない教訓となった。
以来、加代子が道半ばで挫折することはなくなったという。
何かをやり始めるときはやり始めに一番負荷がかかり、その後はだんだんと落ち着いてくるということを認識しておこう。そしてその痛みはしばらくの間続く。だが、永遠ではなく、そのうちになくなる。そのことを認識していれば、習慣付けの役に立つことだろう。
ちなみに、一度習慣化されたものを手放し、再度取り込もうとすると当初やり始めた時以上に辛さを感じるので注意が必要だ。頭の中では出来ていた頃の記憶が蘇り、ゼロからやり始めた辛さをすっかりと忘れているからである。
・筆者作田勇次アカウント 
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