心の在り方

より活躍する人は人格を磨く

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平井一隆の勤める会社は少し風変わりな先輩がいる。といっても平井にとっては迷惑極まりないだけなのだが。
平井の会社は規模が小さい。そのため、先輩社員のフォローは下の社員が行なうこともしばしばあった。平井は岡村という仕事のできる社員のサポートを任されていた。
その先輩は仕事がとても出来るが、どうも評判悪かった。平井が入りたての頃はその理由がよくわからなかった。仕事が出来るのに、なぜあんなにも毛嫌いされているのだろう?
ここの職場は出る杭を打ちつける風習でもあるのだろうか?そう思ったほどだ。
しかし、その謎はすぐに解けた。
平井がサポートを任されて間もないころ、指導も込めてあることを注意された。
言い方はかなりきつかったが、まともなことだったので、平井は素直に受け入れた。
まだ業務のことを覚えたての頃は間違いは誰だって犯す。それをフォローしてあげるのが、先輩の役割というものだ。
だが、岡村の指導はフォローとは少し様子が異なっていた。
はじめのうちは平井も聞き耐えていたが、そのうちその異変に気がつき始めた。
たしかに平井に落ち目があったことは認める。しかし、どう考えてもどうでもいい些細な点まで岡村は激しく非難してくるのだ。
時にはまだやったことのないことまで、非難してくることもあった。
こんなことも出来ないの?!
一体何を教わってきたんだよ!
そんなことまでいちいち俺が教えなきゃいけないのかよ!
お前はほんと疲れるやつだな。
この先が思いやられるわ。
平井が少しでも間違えるとこれらの誹謗中傷を浴びせることが日常茶飯事であった。
平井は辛抱強く耐えていた。岡村ができる社員だったからだ。
一度だけ、耐えかねて岡村に言い返したが、その時も「文句があるのなら、言われないように出来るようになれよ!」と言われてしまった。
ここでは出来ない方が悪い。
平井は拳を握りしめ、歯を食いしばり、そっと耐え続けた。
そんなある時、平井は別の先輩と行動を共にすることになった。
何気ない会話をしていると話はふと社内の問題へと発展していった。平井はつい勢いから自分の持っている不満をぶちまけてしまった。平井はハッと我に帰った。
しまった!仮にも社で仕事ができると評判の先輩の悪口を言ってしまった。しかも、この先輩は岡村さんと関係の深い人だった!!
すると、その先輩からは意外な言葉が返ってきたのであった。
「あ〜あいつね。」
複雑な面持ちで先輩は語りかけた。
「あいつのことは気にしない方がいいよ。仕事はできるかも知れないけどさ。手を焼いているんだよ。余裕がなくなると人にあたるし、どうでもいい小言も言ってくるし。
それに仕事ができるからと言って必要以上に威張り散らす必要なんてない。
あいつは新人潰しなんて言われててね。第一、過剰すぎるんだよ。あんな言われ方すれば壊れるのも当たり前だ。
あんな調子だから誰からも信用されていないしな。はっきり言って他の会社に行ったら通用しないよ。仕事しか出来ないからより出来る競合が出てきた時にはすんなり見捨てられるだろう。
あの調子じゃ、仕事がうまく行っている今はいいかもしれないけど、本当に困った時には誰も助けてはくれないよ。
そうなったらあいつはこの仕事にしがみつくしか道は残っていない。それがどんなに悪条件になろうともな。
俺は人事のことまでは言えないから、そこを変えることは出来ない。
まずは聞いたことを真に受けるんじゃなくて、さらりと受け流すことだ。
それと、あいつを反面教師にしてこうなってはいけないと人格を磨いていくことだな。
平井、よく覚えておけ。仕事が出来ても人格が成熟していないやつはダメだ。
仕事のノウハウを学ぶことはもちろん重要だが、それだけで満足していてはならない。
人生で成功させたいと思うのなら、常に人格を成長させることを意識しろ。
俺からできるアドバイスはそのくらいだ。」
平井は今耳にした言葉が信じられなかった。 
自分だけが腹立たしい思いをして、できる社員に反抗的な感情を持っている嫌なやつだと思い込んでいたからだ。そんなことはなかった。そればかりか反面教師にして学べというのだ。
平井はこの言葉にすっかりはまり込み、仕事と共に人格を育て続けた。
平井が仕事のできるようになった頃にはその差は大きく反転していた。
ただ仕事ができるから良いというわけではない。
いくら仕事が出来たところで人格の成熟していない人は他者と仕事でしか付き合えない。
仕事があるから頼むけど、どこか信用のおけないやつと思われてしまうのが、オチだ。相手はいつだって他にいい人が現れれば、切ってしまおうと考えることもあるだろう。
そうなれば、深い関係構築など出来ない。これでは人生やビジネスをうまく渡り歩くのにはリスクが大きい。
困った時にも助けてもらえるよう、仕事だけでなく人格も優秀な人になっておいた方がいいというものだ。優れた人格者には多くのチャンスが舞い込む。
目指すべきはどこへ行っても活躍できる人格者なのである。

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